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【事務局見聞録】<br />  営農型発電設備の見学について

【事務局見聞録】
  営農型発電設備の見学について

2013年10月07日

今年3月31日付の農林水産省の「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取り扱いについて」の通達を受けて、農業を続けながら売電する「ソーラーシェアリング」が具体的に動き始めています。

国内では福島原発事故の教訓から、人や環境に優しい「自然再生可能エネルギー」で発電した電力の「固定価格買取制度」が一昨年からスタートしましたが、農地に支柱を立てて太陽光パネルをすのこ状に設置して、農業を続けながら太陽光で発電した電力を電力会社に売電するシステムが「営農型発電=ソーラーシェアリング」です。

伊藤さんのソーラーパネル
伊藤さんのソーラーパネル

農作物の生育には遮光率35%~40%が適しているとのことで、県内でも上田市の伊藤幸弘さんが自宅の農地を使い、実際に取り組んでいることから、このたび、長野市監査委員の轟光昌氏に同行して現地を視察してきました。

伊藤さんは、かぼちゃ栽培の畑・約100坪に太陽光パネル72枚を設置して、農業収入と売電収入を得るという試みをこの4月からスタートしました。

伊藤さんのかぼちゃ畑
伊藤さんのかぼちゃ畑

伊藤さんは元建設会社にお勤めで、施設は自主施工されたこともあり、初期投資額は420万円、太陽光発電出力能力は、17.28kw(1太陽光パネル240w×72枚)とのことで、年間売電収入は、

1240kw(設備能力1kw当上田地区年間発電見込量)× 17.28kw × 42円
= 90万円

従って初期投資額は5年で回収できるとのこと。加えて、農産物収入も安定して確保できること、また、原子力や原油等化石燃料に頼らない「自然と人との共生」という社会貢献への思いが、太陽光発電に取り組んでいる無形の効果でもあるとのお話しがありました。

日本には休耕田も含め広大な農地があります。この農地を活用して、従来の農産物収入の8割が収穫できれば(3/31農水省通達基準)、太陽光パネルによる自然再生エネルギーが確保でき、人や環境に優しい電力によって個人生活や企業活動が営まれることになります。
ただ今後、「ソーラーシェアリング」が農業従事者に広く普及していくためには、農家の皆さま一人ひとりの意識改革とともに、資金援助や融資優遇制度等で行政や金融機関、各種団体が協力姿勢を具体的に示していくことが何よりも重要ではないかと感じました。

伊藤さん(右)と轟長野市監査委員(左)
伊藤さん(右)と轟長野市監査委員(左)

*電力買取固定価格制度とは、再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が買取る制度。規模が10kw以上の太陽光発電の買取期間は20年。買取価格は、2013年度1kw当37.8円。2012年度は42円。(伊藤さんは申請時期が昨年で42円が適用。)

<本件照会先>
施工者:伊藤 幸弘氏  上田市富士山 電話 0268-38-0423
取材者:NPO法人長野都市経営研究所 事務局 河口
    電話 026-235-7911 FAX 026-235-6166
    E-mail  nupri@nupri.or.jp